http://bizgate.nikkei.co.jp/article/91625218.html
私たちは、ある商品、あるサービスを「ひとつだけ」見て、それを買うのが苦手です。
でも何かと何かを「くらべる」ことができると一気に判断しやくすなり、「こっち!」と選ぶことができます。
「くらべる」ことで楽になる――これがアンカリングの本質です。
耳の遠い仕立屋兄弟の話
アメリカのキッチン用品店ウィリアムズ・ソノマは、高級家庭用パン焼き器を279ドルで売り出しました。
あとになって、少し大きなモデルを429ドルを追加して売り出しました。
この大きな高価格製品が登場したことで、小さな279ドル製品の売り上げが2倍近く増えたそうです。
はじめ、消費者は279ドル製品が「高いか・安いか」を判断できなかったのです。
ここに429ドル製品が加わったことで「くらべる」ことができるようになりました。
「くらべる」ことで消費者は279ドル製品のおトク感を実感でき、これで販売が伸びたというわけです。
1930年代、紳士服店を営むシド&ハリー兄弟の物語です。
鏡を前に試着するお客さんから価格を聞かれたシド、奥で仕立てをしているハリーに向かって「このスーツいくらだっけ?」と尋ねます。
「オール・ウールの最上級のやつだね、42ドルだ」と、実際より高い価格を答えたのは、奥で仕立てをしているハリー。
シドは耳が遠いふりをして、「え、いくらだっけ?」ともう一度尋ねます。
「42ドルだって!」と、再び奥のハリー。
シドはお客に向かって「22ドルだそうです」。
客は急いで22ドルを払ってスーツを買い、そそくさと店をあとにしたそうです。
顧客は、価格を「くらべる」ことで高いか安いかを判断します。
だからメニューには、自信がある「たったひとつ」だけを書くべきではありません。
それでは消費者が選べないからです。
私たちは「くらべる」ことでトクやソンを認知できます。
だから「高い定価を買いて上から二重線で消し、安い価格を書く」古典的な手法が、心理的に有効なのです。
いったん高い価格を見てしまうと、もうひとつの安い価格を見て、「トクした!」と思ってしまうからこそ、 「特売セール」は効果的なのです。
このように、「くらべる」ことでおトク感を演出したり、気持ちよく選んでもらう作戦を、 くらべるプライシング=「くらプラ」と名付けましょう。
多くの人が定価で見ないシネコンの映画
シネコンの映画には、各種の割引があります。
前売り割引に女性割引、シニア割引、団体割引、
曜日限定割引、携帯電話会社などと提携した割引もあります。
ほとんどの人が「割引価格」で映画を観ており、
定価で観ている人のほうが少ないです。
観た人は定価と「くらべる」ことでおトク感を実感できます。
定価を払った人にも、シネマイレージを使えば「6回観たら1回無料!」が付いており、抜かりはありません。
すべてのお客さんに対して、おトク感を提供しているわけです。
「くらべる」プライシングは、高級レストランなどでも活用されています。
東京の某高級ホテルのレストランでは、ランチメニューが「3種類」提供されていました。「5800円・4000円・3000円」です。
私の読みでは、高価格の5800円は一種のダミーです。
頼んでくれる金持ちや外国人がいたら、それはそれでめっけもの。
あまり注文する人がいなくとも、この「5800円」メニューには重要な意味があります。
この5800円があると、真ん中の4000円メニューが、妙に安く感じられませんか?
もし仮に、ランチメニューが「4000円&3000円」だったとしたら、多くの方が「3000円」を選ぶことでしょう。
しかしここで5800円メニューが用意されると、そっちが基準(アンカー)となって、4000円が安く見えてしまいます。
ただでさえ私たちは「3つのなかから真ん中を選ぶ」のが大好きです。
鰻でも天丼でも、「松・竹・梅」から選ぶとき、つい「竹をお願いします」と頼みがち。
心のどこかに
「梅を頼んで、貧乏人だと思われたらどうしよう」とか「松を頼んで、大したことなかったどうしよう」という不安感があります。
とくに「ビリはイヤ」で「出すぎたクイは打たれる」と身をもって感じているサラリーマンは、仕事では中団好位置キープのポジショニング、そして食事では「竹」を選んでしまうのであります(?)。
引用元: ・【ビジネス】「松・竹・梅」で竹を選んでしまうのはなぜか? 買わせる値段の決め方
>>1の理論だと効果薄いだろうな
要は価格の妥当性が分かりにくい商品にどうやって割安感を出させるかて事なので
スーパーの肉みたいに主婦には相場感が出来上がってるものには適用しづらいはず
初めての食い物屋やサービス業なら、間違いなく梅。
>>1
例がいまいちだよね
(1) サーロインステーキ 150g 2000円
(2) サーロインステーキ 200g 2000円(いまだけ増量サービス)
(3) サイコロステーキ 200g 1400円
(3) 論外 いったん肉をすり潰しているから どんな肉を使っているかわからない
(2) (1)と同じ肉だとは限らない
たとえ店員さんが同じだといっても、問屋で変更しているときもあるから。
もっとわかりやすい例をもってきてほしい
人々の選択を狂わせるメンタル・デコイ
世の中には「くらべる」心理特性を踏まえた、一種の「目くらまし」テクニックも登場しているので注意しましょう。
たとえば、レストランのメニューで、次のどちらかを選ぶとします。
(1) サーロインステーキ 200g 2000円
(2) サイコロステーキ 200g 1400円
なかなか選びにくい選択ですが、「安さ」でサイコロステーキが選ばれる可能性が大です。
ここで、「おとり」選択肢の登場です。
次の3択から選ぶとしたら、あなたなら、どれを選びますか?
(1) サーロインステーキ 150g 2000円
(2) サーロインステーキ 200g 2000円(いまだけ増量サービス)
(3) サイコロステーキ 200g 1400円
この3択を提示されると、かなりの人が真ん中の「サーロイン200g(いまだけ増量)」を選ぶはずです。
この3つを見比べると、最初の「サーロイン150g」を選ぶのは明らかにソン。なぜなら同じ価格で「サーロイン200g」を食べることができるのですから。
サーロインの150gと200gを「くらべて」、200gを注文した方がトク――メニューを見た人は直感的にこれを見抜きます。
だから多くの人が「サーロイン200g」を頼むのです。
さらに「いまだけ増量」で希少感をアピール。
これで「2択」ではあまり選ばれなかった「サーロイン200g」の注文が急に増えます。
このように、人々を誘導する「不利なおとり」、この場合の「サーロイン150g」をメンタル・デコイといいます。
私たちはだまされないように気をつけねばなりません。
レストランでは、自分の食べたいものを食べるよう、心がけましょう(?)。
この連載の第2回で報酬価格の下落に苦しむデザイナーAさんのケースを取り上げました。
ウェブデザイナーやイラストなどを手がけるAさんの話を聞いて、私はその報酬下落の原因が「アンカリング」にあることを発見しました。
安い基準を自らつくる「低価格アンカリング」の失敗
仕事が丁寧で迅速、そして作品クオリティーも高いAさんは「口コミ」によって、仕事が増えていました。
サービス業にとって、口コミで仕事が増えるのはその実力が認められた証拠、歓迎すべきことです。
しかし問題は、以前の報酬単価がそのままあとの仕事にも引き継がれてしまったことです。
Aさんの場合、それほど実力がなかったころの低い報酬単価が「基準」となり、そのあとずっとそれに苦しめられていました。
とくにサービス業やフリーランスは、こうした「低価格アンカリング」に気をつけねばなりません。
もちろんメーカーや流通業でも「低価格アンカリング」には注意が必要です。
はじめに「今回だけは……」 と低価格で値付けしてしまうと、それをあとから値上げするのは、とても難しいです。
「低価格アンカリング」を避けるには、最初が肝心。
どうしても安く商品・サービスを売るのなら、でっち上げでも「高い定価」を設定したうえで、「今回だけの特別割引」で提供してください。
「今回だけの特別割引・お試し価格」理由はなんでもかまいません。
とにかく「本当は高いけど、今回は特別に安くする」ことを明確にすること。
これで買う側のおトク感を演出したうえで、
そのあとの仕事に「高い定価」を引き継ぐことができます。
田中 靖浩著 『良い値決め 悪い値決め』(日本経済新聞出版社、2015年)第7章「トップセールスに学ぶ、比べさせて売る『くらプラ』」から
松は拒否しても竹まで渡してしまうアホが多すぎ
松、竹、梅があったら間違いなく梅を買うだろ。
普通。
たとえば鰻丼で「松のみメロンつき」とかしょうもない付加価値づけをされてたら
松竹梅どれも頼む気しなくなる.
一番下は決定的な欠陥があるようにしておく
元の値段が明らかに30%増しなのだが、効果あるのかな
(極端な例だと売れ筋のみだと売上げ落ちるというあれ)
だからコンビニなどでマネージャーが棚に空きがあることを発見するとコンビニ店長の意向を無視して勝手に商品を発注して棚に置かせる
例え売れなくても比較する物があるということは大事ということ
アキモトヤスシも似たようなこと言ってたな
人間比較するものがいっぱいあると自分にとってどれが一番か…てのを
無意識に考えてしまうものらしい
テレビ買おうと思って、最初の店に行ったら、同一メーカー&インチの型番違いが同じ値段で売られてた。
展示品ってわけでもなく得なのかどうかわからなかった。
他店まわって高性能モデルとシンプルモデルで、高性能モデルがかなり安いとわかり後日買いに行ったが、期間限定セール品で値上がりしてた。
比較対象がないと、即決できんわ。
トクしようとか欲をかくからこういうのに騙されるし、
買い物に延々と時間かけてくたびれるんだぜ
一番高い選択肢で高いと思うなら、基本的には無駄か、
身分不相応な買い物をしようとしてるって思うべき。
自分がすごい詳しい領分の重要な買い物は例外だが、
人間何にでも精通できるわけないから、
大抵の買い物はそれに当てはまらない。