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日本は植民地にならず歴史を刻んできた珍しい国だが、企業の歴史も桁外れに長い。しかし、その“息の長さ”は、新しい会社が生まれる土台作りを阻んでもいる。
from Financial Times (UK) Text by Robin Harding
藤源右衛門は、茨城県にある小さな欅(けやき)林のなかで代々酒造業を営んできた一家の55代目当主だ。
この須藤本家は、地震や台風、戦争や暴動、藩主や軍国主義政府の弾圧、さらにはビール産業の出現を耐え忍びながら、874年に及ぶ歴史を刻んできた。同社はきれいな水と地元産の良質な米にこだわり続け、酒蔵を外の世界から守っている欅林の保全にも力を入れてきたため、今も顧客に支持され続けている。
須藤本家を見れば、日本に長寿企業が数多く存在する理由の一端がわかる。しかし、同社は日本で10番目に古い企業でしかない。
705年創業の西山温泉 慶雲館は世界最古のホテルだし、社寺の建築を手掛ける金剛組の創業物語はまるで天地創造の神話のようだ。
「578年に聖徳太子が百済から3人の大工を日本に招いたが、そのうちの1人が創業者の金剛重光だった。3人は日本初の官寺である四天王寺を建立した」という。長寿企業は、戦争に負けても一度も植民地になったことがない、日本人の打たれ強さと、共同体を重んじる精神を体現する存在なのだ。
だが、日本企業の息の長さには負の側面もある。経済協力開発機構(OECD)によると、生産性の向上には経済の活性化と企業の入れ替わりが必須だ。ところが日本企業は、入れ替わりのサイクルがどの先進国よりも遅い。何世紀も続く企業は生き残ろうとする意志が強いのだ。会社が長生きしている秘訣を訊ねられると、須藤源右衛門は「地元の共同体のなかで生き抜いてきたこと」だと話した。
日本の長寿企業の特徴の一つは、非常に長期的な視野を持っている点だ。須藤は一族が残した事業の100年計画の42年目を実行中だ。計画は時代に合わせて変化させてきた。
これは、小津産業の中田範三会長の信条でもある。362年続く同社は、上場企業のなかでは息の長い会社の一つだ。中田はすでに同社の創業400周年を視野に入れている。その頃には、現在の新入社員は60歳になっている。
もともと紙問屋だった小津産業は、時代の流れと共に事業内容を何度も変えてきた。今でも和紙事業を展開しているが、業界が大量生産の方向にシフトしたため、製造業にも乗り出した。現在の主力製品は電子・半導体工場向けの清掃用品だ。
創業500年以上の企業に共通しているのは、需要が途切れない「地味な必需品」を提供している点だ。
日本の長寿企業上位10社の構成を見ると、建設業、醸造業、金属加工業、華道の家元、それに儀式用品会社が2社と、旅館が4社となっている。
だが、能力のある若者が新興企業で働く代わりに、老いた大企業を再生しようとして人生を無駄にしている事例は数え切れない。こうした長寿企業の負の側面に気付いている安倍晋三首相は、それらの企業の多くを“殺そう”としている。安倍は経済改革の「第三の矢」として、「日本再興戦略」を策定。開業率・廃業率を現在の約5%から10%台に引き上げることを目標としている。
加えて、多くの日本企業が頭を悩ませているのが後継問題だ。少子化に加え、若者が親と違う夢を追いかけるケースが増えている。
しかし長寿企業は後継をさほど心配していないようだ。前出の須藤は語る。
「私が働く姿を見て子供たちも跡を継ぎたいと言っていますし、私もそう願っています」
引用元: ・【国内】企業の歴史が長いのは良いことではなかった!? 日本の経済成長を妨げる“1000年企業”
低賃金労働とかサビ残しないと続けてられないような会社は潰してあげないと。
ソニーとかブラザーとかフジフィルムとか、大資本持ってる会社は多角化して賞味期限切れ事業を切って、有能な事業で生き残る。
税金を食い物にしている財閥系が日本経済の足を引っ張っているんだろ。