http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160105-OYT1T50000.html
本格的な寒ブリシーズンの到来を告げる「寒ぶり宣言」が行われないまま、富山県氷見市の氷見漁港は4日、今年の初競りを迎えた。
ブリは昨秋から不漁が続き、この日の水揚げは37匹のみ。
市場関係者たちは「初競りでブリのこれほどの不漁は記憶がない」とため息を漏らしている。
午前5時半、漁港で開かれた大漁祈願祭に臨んだ氷見漁業協同組合(森本太郎組合長)の組合員たちの表情は、一様に厳しかった。
森本組合長は「まだブリの数が少なく、サイズや脂の乗りも足りない。ブランドを守るため、この状況で『寒ぶり宣言』はできない」と語った。
漁協によると、同港のブリ水揚げ数は、昨年10月末から12月末までの間で約3000匹と、例年の1割ほどにとどまる。
漁獲量や魚体の大きさなどを基準にした「ひみ寒ぶり」漁の開始宣言は、2011年の宣言制度の開始以来、初めて越年した。
市場関係者は「豊漁の年と比べると、市場の損失額は億に上る。定置網漁の関係者には大きな痛手だ」と語る。
「宣言」に明確な基準はないが、脂の乗った10キロ級の魚体が数百匹ずつ連日水揚げされるなど、漁協関係者らによる判定委員会が「質、量ともに十分」と判断できる条件が必要だ。
しかし、今季は12月に入っても1日平均30~40匹と不漁が続く。
豊漁の年には1日1000匹以上が水揚げされるのと比べると、その差は歴然だ。
さらに、今季は魚体も小ぶりで、初競りで水揚げされた37匹も半数以上が10キロ以下だった。
高級ブランド「ひみ寒ぶり」として出荷するには、宣言後も重さ6キロ以上が必要だ。
仲買人の男性(74)は「通常の初競りには数百匹のブリが揚がるが、今年は特に少ない。
わざわざ新幹線でブリを食べに来る人も多いので、今後に期待するしかない」と話していた。