http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL30HTU_Q5A131C1000000/
公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が30日発表した2015年7~9月期の運用実績は、
7兆8899億円の赤字だった。期間収益率はマイナス5.59%(4~6月期はプラス1.92%)となり、14年1~3月期以来、6四半期ぶりのマイナス運用となった。世界的な株安が進んだのに加え、
円相場の上昇で海外資産の評価損が出た。10月以降は株式相場の持ち直しで運用収益は改善しているとみられる。
GPIFは国民年金と厚生年金の積立金を国内外の株式や債券に分散投資している。
運用資産額は9月末時点で135兆1087億円。自主運用を始めた01年度以降で最高だった6月末時点(141兆1209億円)から減少した。
資産構成別の収益の内訳(市場運用分)は、国内株式が4兆3154億円、外国株式が3兆6552億円、外国債券が2408億円の赤字だった。一方、国内債券は3022億円の黒字だった。
9月末時点の積立金全体の資産構成は、外債の比率が13.60%と6月末時点(13.08%)から上昇し、これまでの最高(14年12月末、13.14%)を更新した。GPIFが目安の中心値とする15%にやや近づいた。
国内債は38.95%と6月末(37.95%)から上昇し、目安の中心値である35%を上回っている。
一方、国内株式は21.35%(6月末23.39%)、外国株式は21.64%(同22.32%)と、いずれも前四半期から低下。それぞれ目安中心値の25%には達しなかった。
7~9月期の収益率(市場運用分)は、リーマン・ショック後の2008年10~12月期(マイナス6.09%)以来の下落幅となった。もっとも10月以降は株式相場が持ち直し、GPIFの運用収益は改善しているとみられる。野村証券の西川昌宏チーフ財政アナリストは11月27日時点で、昨年度末と比べ約1.9兆円の運用黒字が出ていると試算。
SMBC日興証券の末沢豪謙金融財政アナリストは四半期別にみると、4~6月期の落ち込みが足元までに一巡し、今のところ収益はほぼ均衡したとみている。
【GPIFの資産構成】
9月末(6月末)
国内債券 38.95%(37.95%)
国内株式 21.35%(23.39%)
外国債券 13.60%(13.08%)
外国株式 21.64%(22.32%)
短期資産 4.46%(3.27%)
〔日経QUICKニュース(NQN)〕