http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160112-OYT1T50097.html
千葉県立千葉商業高校(千葉市中央区)の流通ビジネスコースの女子生徒4人が、
県の特産品・落花生の殻を使った消臭剤を開発した。
10日に東京で開催された「高校生ビジネスプラン・グランプリ最終審査会」(日本政策金融公庫主催)では、審査員特別賞を受賞。
今後、地元商店街のイベントへの出店も検討しており、「私たちの活動をきっかけに、捨てられる殻を利用する動きが広がれば」と意気込んでいる。
◆ネット情報もヒント
同コースでは、全2年生が「マーケティング」を学び、3年生は選択科目「商品開発」で具体的なビジネスプランを練っている。
消臭剤作りに取り組んだのは、今年度、商品開発を学ぶ約90人のうちの4人。
開発のきっかけは、落花生の殻の有効活用を考えていたとき、インターネットで殻に消臭効果などがあるという情報を見つけたことや、ハンドボール部に所属していたメンバーの一人が当時、シューズのにおいが気になっていたのを思い出したことだ。
さっそく消臭効果の実験を始め、先輩が使い古したシューズの中敷きを切り分け、中敷きだけを入れた瓶と、殻と中敷きを詰めた瓶の臭いをかぎ比べた。
さらに、嗅覚の研究をしている東大大学院の研究室に依頼して比較データを取ってもらったところ、殻が中敷きの臭いを吸着する上、殻自体が香りを放つため、中敷きの臭いが感じられなくなることが分かったという。
◆生産農家から無料で
こうして開発した商品は、縦13センチ、横9・5センチの不織布に、粉末にした殻5グラムを封入したシンプルなつくりだ。
殻は八街市の生産農家から無料で譲ってもらい、本体は使い捨てカイロなどを作っているさいたま市のメーカーに交渉して原価で250セットを製造してもらった。
価格は一般的な消臭剤より割安な1セット100円(税込み)に設定。「Reborn(再生)」をイメージした「りーちゃん」と「ぼんくん」のかわいらしい落花生形のキャラクターも作り、包装紙に印刷した。げた箱の靴や体操着袋に入れて使うことを想定しているという。
昨年12月27日には高校近くの飲食店などを訪問して来店客に商品を販売。約40セット売れ、 客からは価格やキャラクターデザインを高く評価された一方、「見た目で消臭剤と分かりにくい」 「天然素材で、地域のものを利用していることをもっと前面に出した方がいい」などの反応があった。
今後、地元商店街のイベントなどで販売していくつもりだ。
リーダーの生徒(18)は「予算の制約があり、当初思い描いたレベルには達していないが、いいものができたと思う。落花生の殻を利用する動きが広がればうれしい」と話している。(渡辺光彦)