http://www.sankei.com/politics/news/151212/plt1512120011-n1.html
高齢者の地方への移住を促す「生涯活躍のまち(日本版CCRC)」構想を議論してきた政府の有識者会議
(座長・増田寛也元総務相)は11日、最終報告書を取りまとめ、石破茂地方創生担当相に提出した。
8月の中間報告で「65歳以上」としていたCCRCへの移住対象者を「50代以上」に引き下げたことが柱。
幅広い年齢層のコミュニティーを形成し、持続的な安定性を持たせる狙いがある。
CCRCは特別養護老人ホームなど既存の福祉施設とは異なり、健康なうちから地方に移住して作る 新しいコミュニティーのこと。
移住後は地域社会の一員として積極的な社会参加が期待されている。
石破氏は報告書を受け取った後、記者団に対し「東京の過度な一極集中を是正し、地方に活力や人の流れを作っていく。
構想実現に向けて努力したい」と述べた。
最終報告書の内容は、平成31年度までの地方創生に関する施策の方向性を示した国の「総合戦略」に反映させ、来年度以降に必要な法整備などを行う。
内閣官房に「生涯活躍のまち支援チーム(仮称)」
を来年1月にも設置し、事業を普及させることも盛り込んだ。
有識者会議は、地方への移住構想について「あくまでも住み替えの意向のある高齢者の希望実現を図る選択肢の一つ」と位置付けた。
「意向に反し移住を進めるものではない」とも強調し、高齢者の地方移住に
「姥(うば)捨て山」との批判があることに配慮した。
報告書では、希望する移住先に短期的に住む「お試し居住」の機会を設けるように提起。
費用に関しては高齢者夫婦の厚生年金の標準的な年金月額約21万8千円で生活できるような水準を想定した。
また、移住資金を確保できるよう高齢者が所有する住宅を若年層に売却や貸し付けをする「住み替えサービス」の必要性も指摘。
移住先で生きがいを持って暮らすため就労や社会活動などを斡旋するサービスの提供にも触れた。
こうしたアクティブシニア(活動的な高齢者)の活動を支えるとともに、介護が必要になった場合でも地域の医療・介護サービスを継続的に受けられるよう求めた。
受け入れ側の地方自治体に対しては介護保険料の負担が重くならないよう介護保険の財政調整制度の強化を促した。
政府によると、CCRCに取り組みたいという自治体は全体の14・7%に当たる263に上る。