http://biz-journal.jp/2016/01/post_13136.html
楽天の中核事業、インターネット通販の楽天市場がヤフーに追撃されて停滞色を強めつつある。
楽天市場の窮状が鮮明になったのが、楽天の2015年第3四半期(7~9月期)決算だった。
証券関係者を驚かせたのは、公表された楽天市場の流通総額のデータ集計方法が従来より変更されたからだ。
同期の国内グループ流通総額(商品取扱高)は1兆8743億円で、前年同期比20.9%増と高い伸びを示した。
内訳は、Edy・楽天ポイントカード・クレジットカードの取扱高が同26.3%増の1兆1859億円。
Edyは電子マネー楽天Edyによって決済された金額。
国内EC(楽天トラベル含む)は同12.6%増の6884億円だった。
証券関係者が首を傾げたのは、国内のEC総額にそれまで含まれていなかった宿泊予約サイト、楽天トラベルが追加されたことだ。
市場では「国内のEC総額が伸びていると見せるため」と受け取られた。
14年12月期の国内EC流通総額は前年同期比13.7%増の2兆100億円で、初めて2兆円の大台を超えた。
11年に1兆円を超えてから3年での達成となった。
楽天市場の1店舗当たりの流通総額は4810万円で、出店店舗数は4万1442店だった。
15年から国内グループ流通総額と表示を変更。
国内EC総額のほかに、Edy・楽天ポイントカード・クレジットカードの取扱高、楽天トラベルの予約流通総額が加わった。
第1四半期(15年1~3月期)の国内グループ流通総額は1兆7379億円で前年同期比12.8%の増加。
第2四半期(4~6月期)は同24.2%増の1兆8738億円。そして第3四半期(7~9月期)が同20.9%増の1兆8743億円だ。
15年12月期の通期決算では国内グループ総額は7兆円の突破を高らかに謳うことになる。
横ばい続く
しかし、楽天市場を中核とする国内EC流通総額は伸び悩んでいる。
15年第1四半期は5079億円で前年同期比1.2%の減。
14年まで2年間(平均16.7%)の高い成長がストップした。楽天市場の成長神話が崩壊した瞬間だ。
第2四半期は同17.2%増の5341億円と持ち直したが、第3四半期が国内EC総額に楽天トラベルが加わり、流通総額は6884億円で前年同期比12.6%増という数字を公表した。
では、楽天トラベルを除いた国内EC総額はいくらになるのか。
楽天トラベルは15年に入り20%以上の高い伸びを見せており、第2四半期は同24.8%増の1978億円だった。
第3四半期も同程度の取扱高だったと仮定すれば、楽天トラベル分を差し引いた正味の国内EC総額は5000億円程度になる。
この2年間、横ばいの状態ということだ楽天市場の停滞は出店店舗数に現われている。
15年9月末時点のそれは4万2601店。
14年12月末の4万1442店から1159店しか増えていない。
ヤフーの猛追
ヤフーの第2四半期(15年7~9月)のeコマース国内流通総額は前年同期比18.5%増の3335億円。
内訳は、主力のヤフオク!などオークション関連の取扱高が同5.8%増の2032億円、Yahoo!ショッピングなどショッピング関連が27.3%増の1139億円。
買収したオフィス用品配達のアスクルのネット経由の取扱高が163億円だった。
特にショッピング関連の取扱高が大きく伸びた。
15年9月末時点のストア数(出店者数)は34万店。14年9月末の19万店から15万店、80%も増えた。
商品数は1.2億点から1.8億点に49%増えた。
上半期にカルチュア・コンビニエンス・クラブ、ソニー、 大丸松坂屋百貨店が新規出店した。
楽天市場とYahoo!ショッピングの出店者数に大きな違いが生じたのは、ビジネスモデルの違いによる。
楽天市場は出店料で稼ぐ。
出店料は月額1万9000円からとされ、さまざまなオプションなどを付けると年間出店料は実質58万2000円に上るという(15年5月29日付楽天出店サポートマガジン
『楽天逆転プロジェクト』メール版『楽天出店で失敗しないために』より)。
一方、Yahoo!ショッピングは売上手数料と出店料は無料で、広告収入で稼ぐことを基本にしている。
有料か無料かで、出店数に大差がついた。